『傲慢と善良』辻村深月

読んだ本



今回私が読書にはまるきっかけになった、『傲慢と善良』


この本を読むまで自分は正直、善良な人間だと思っていました。

そしてこの本に出会っていなかったら、そんな自分の傲慢さに気づくこともなかったかもしれないと思うとゾッとします。

傲慢さも善良さもどちらも人であるが故に、矛盾せずに一人の人間に存在するもの。

人間は善良な面しかない、傲慢な面しかない。そんな人はいませんよね。

どんなに善良なところがあっても、傲慢さは必ずあります。

あってもいいんだと思います。

大事なのは、自分自身の傲慢な部分を否定せずみて、理解して、受け入れることができるか。向き合うことができるか。だと思います。

それって自分だけじゃなく、相手のこともです。

いい部分や表面(見た目、身長・年収・学歴など)ばかり見るのではなく、

内面的な部分(特に相手にも存在する傲慢さだったり)そうゆう所もしっかり見て、気づき、向き合うことができるか。

文章では伝わりづらいですが人間にとって、とても大事で、少し生きやすくなったりするのかなと思います。

特に、

P133

『皆さん、謙虚だし、自己評価が低い一方で、自己愛はとても強いんです。傷つきたくない、変わりたくない。ー 高望みするわけじゃなくて、ただ、ささやかな幸せが掴みたいだけなのに、なぜ、と。』

P137

『ピンとこない、その正体は、その人が、自分につけている値段です』

『ささやかな幸せを望むだけで、と言いながら、皆さん、ご自分につけいらっしゃる値段は相当お高いんですよ。ピンとくる、こないの感覚は、相手を鏡のようにして見る、皆さん自身の自己評価額なんです』

この言葉には度肝を抜かれました。

婚活や恋愛にも当てはまりますが、現在就職活動中の私は、真っ先に就活のことが頭に浮かびました。

私なんかと、謙虚なことを言っているくせに、いざ、キャリアアドバイザーの方にご紹介いただくと、

『ここはちょっと、こうゆう所が気になるので、、』

お給料やお家からの距離がよくても、

『ちょっと仕事内容が、、』など、

探せば、もっと私に合うところがあるかもしれない。と高望みをしていたのだなと、

改めて、自覚することができました。

この発言に見合う、経歴やスキルなどがあれば確かにいろいろ模索するのもいいかもしれません。ただ今の私にそれに見合うものがない中、高望みをし、身丈に合わない就職先を一生懸命にエントリーしていました。

ああ、私謙虚そうにしてるくせに、凄く傲慢な考えをしていたんだと思いました。

自己愛がめちゃくちゃ強いんだ~、、、と自覚いたしました。。。恥ずかしいですね

ただ、何でもかんでもOKを出すのはまた違うので、そのことを踏まえてしっかり見つめ直したいと思いました。

そして、

P282

『皆が行くから大学に行き、親が決めたから就職し、そうゆうものだからと婚活する』

P283

『しかしこの世界の中に、「自分の意思」がある人が果たしてどれぐらいいるのだろう。』

この言葉も凄く考えさせられました。

確かに私自身も、世間の常識や周りの友達や環境に流され、そうゆうものだからとごく普通に、無意識に思い、世の中に流されていきているなぁと。


ただ、このSNSが多様化する時代の中、「自分の意思」を持つことの難しさを改めて感じました。

わたしを含めて、この世界に一体どれだけ「自分の意思」があるのでしょうか。

恋愛においても、SNSやドラマなどの影響で、画面上の恋愛のいい面を簡単に沢山、知識として取り入れれる時代です。

ただ、その良い面に当てはまらないと

『私は愛されてないんじゃないのか。』

『私のことが好きなら、もっとこうすることが普通じゃないのか。』

と相手に求めるばかりの恋愛になってしまいやすい気がします。(これもまた、仕事にもいえることかもしれませんね。)

けして悪いことではないですが、それに囚われすぎると、きっとしんどくなってしまいます。

世間の常識や世間の固定概念、世間体に左右されない、自分の感性や意思を尊重し、しっかり自分をもちたいとおもいました。


私もこう言いながら、自分に言い聞かせるように今書いています。

他にも本作には、心に刺さり、考えさせられることが沢山書いてあります。

私はこの本に出会えて本当に良かったなと思っています。


とっても素敵な作品でした。

長文ここまでお読みいただきありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました